2012年、私はひさしぶりに投資家という人にシリコンバレーとサンフランシスコでお逢いしました。自身の手がけたタブレットのソリューションの可能性を訊くために。「WWDCに行くついでに」と連絡したら、快諾してくれました。
彼らの反応はシンプルに「Why not?」でした。
「もうできあがっている。ここまでちゃんと動いているのだから、後は売るだけだ」と。
「なにをグズグズしている？明日にはライバルが同じものを作るぞ。準備が万端になることなど、絶対にない。慎重なのは日本人の悪いクセだ」
インド系のセールス・エージェントに、さらにアクセルを踏むことを諭されたのを覚えています。
Appleの世界開発者会議、WWDC 2012は、数時間でチケットが売り切れました。Steve Jobsがいなくなったアップルは、何か期待に応えようと力を入れてくれたような気がします。
パワーアップしたつもりのiOS 6は…力が入り過ぎていた部分があったのかもしれません。翌年、スピーチのメンバーからいなくなった人もいました。
それでも、いま考えてもiOS 7に至るまでのベストのモバイル・テクノロジーが含まれていました。いくつかの領域で、たしかにGoogleの影が気になっているのも明らかでしたが。
エンターテインメントのような楽しさを、エンタープライズに。オンラインとオフラインの狭間を、少しでも埋めたい。
そのあたりが、私のこだわりたい領域だと見えてきました。
世界中に、怖じ気づかずに挑戦しはじめたのが、この頃でした。
